「えーっ、今から行くのー、そこにーーー!」
何年前のことかもう忘れてしまいましたが、当時の私は寝ても覚めても意味不明の「文字」が頭に浮かび、「うーん、そこに行かなきゃなんないのかー、難儀じゃー、ってか、行ってどうなるのーーー?」
その「文字」は大体が「地名」なんですね。最初の頃はひらがなだったんですが、それがやがて漢字になりました。
今でも忘れません。初めて漢字で浮かび上がった二ヶ所の地名。「慶佐次」「宇茂佐」・・・。
実は・・・その二ヶ所、車で通り過ぎたことは何回かあるんですが、まだ降り立ってないんですの。オホホ。
一番きつかったのはあそこだな・・・「ター滝」。
大宜味村にある滝なんですが、比地大滝とか、源河川とかと違ってあまり知られてない滝でした。
「えーっ、今から行くのー、そこにーーー! でも、どこかわかってんの?」
初夏だったか秋口だったか・・・、お昼ご飯を妻と食べてるときに「イメージ」が浮かび上がってきて、どうしてもそこに行かなきゃならないという気持ちがすんごい強くなってきて・・・。
だけど、その「イメージに出てくる滝」がどこにあるのか全くわからない。とりあえず、北の方ってのはわかる。
妻は上記の言葉を言ったあとに、「オッケー、気をつけて行ってらっしゃい」と私を送り出してくれたんです。
今から考え絵ると、とても有難く、そして勇気のいる決断を妻はしたんだなとつくづく思います。
お昼ごはんを早々と済ませ、一路北へと車は進みます。
「霊感ナビゲーションシステム」を駆使して車は進みます。高速道路を名護市の許田インターで降り、名護市街を右手に見ながら海岸沿いを走ります。21世紀の森公園に差し掛かったところで、さぁ、問題です。左に曲がって本部半島に向かうコースなのか、それとも右に曲がって為又方面か?
だんだん近づく信号機、左折か右折か、どっちだーーー!・・・・・・・ん、一瞬頭が真っ白になって・・・「右」という文字が頭に浮かぶ。
ハイ、右ーーー。そのまままっすぐだーーーー。そんな感じの「霊感ナビゲーション」で気がつきゃ「ター滝」に到着。
車を降りて川に入ろうとすると、「ハブ注意」の看板。 私はね、比地大滝の遊歩道みたいなのがあるのかしらと想像していたわけですよ。
しっかし、着いてみりゃ、なんなんだこれは・・・。遊歩道なんてありゃしない。岩がゴツゴツした、本物の川と森、森、森・・・。
私の格好なんですけど、電気工事屋さん風の作業着に運動靴ですわ。
しかも、河原が狭く、川の中を足元びしょぬれにしながら進まなきゃいけない。おまけに、いたるところで腰までつかる。
もうやめようか・・・。もうもどるか・・・。川は木々が生い茂り、なんだかちょっと暗いのよ。しかもひとりぼっち。
それでも我慢して歩いていたらば、前方から人の声がするんです。(霊ではありません。本物の人でした)
「こんにちはーーー!」っと元気よく声をかけてきた二人の若い男性達。
「コンチハー」と挨拶を返しましたのね。そしたら、挨拶のあとにこの二人が私に言うわけよ。
「どうしました? 調査かなんかですか?」
「イエ、ちょっと気が向いたんで散歩しようかと思って、エヘヘ・・・。」
彼らの格好は、まさしく山歩きに適した格好。背中にはリュックを背負い、しっかりしたトレッキングシューズを履き、手袋もしてネルシャツも着用してて、なんか杖みたいなのも持っていて、「山男」って感じ。
それに比べて私は、作業服の小太り中年オヤジがただひとり。
ぜったい彼らは思ってたはずです。この人まさか・・・自殺なんて考えてて・・・・
そういう、お互いの思いが錯綜するイヤーな空気を感じた私は言いました
「イヤ、イヤ、僕は死にましぇーーーん。」
爆笑の彼らと別れたあと、滝に到着するまで約40分間。誰とも会わず、ひたすらに黙々と川の中を歩き、パンツはびしょぬれ、すべる岩を登り、川の水で喉を潤して、ついに滝へ到着。
さて、着いたぞ、それで・・・・『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
ん? 着いたぞーーーー!「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
オーイ、メッセージかなんか無いのかーーーーーーーーー
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ないんかい!
マジか?
結局、何のメッセージもイメージも出てこないまま。
スゴイ疲労感と、情けなさ満載の俺
もう何のためにここまで来たのか。この苦労はなんだったのか?
泣きそうになりながら車までたどり着き、びしょびしょのまま車に乗り込み・・・・
家について妻に、「どうだった?、何か収穫あった?」に・・・・「・・・・・・・・」
まぁ、あの経験の「意味」を悟ったのはごく最近の話。
無駄だと思うことでも手探りで、一生懸命やる心を学ばされたわけであります。
いやぁ、しかし、あちこち行かされたですよ、ホントに・・・。
これからもこういうことはずーっと続くわけです。