「これはなかなか祓えない」。
そう判断した私は姉さんに言いました。
「引越しすると、もっといいことがあると思いますよ」
すると・・・姉さんは・・・。
「そのことで困ってるんです。近く引っ越さないといけなくて・・・」
どうやら、この建物は取り壊しが決まっていて、近いうちに引越ししなければならないそうなのです。
姉さんはココから離れたくなく、近くのアパートにしようかと考えていたとの事。
「ハダカユー」の霊魂は、取り憑いた相手を逃がそうとはしません。骨の髄までしゃぶり、一生涯離れようとはしないもの。
ですから、時には「神様」のように振る舞い。時にはいたいけな「少女」のように姿形を変え。
小さな暗闇から人間達を狙います。
欲深い人間は彼らの大好物です。
ちなみに、このアパート・・・・どう見ても築10年経ってません。それを壊す。
何かあるから壊すのでしょう
とりあえず、この「ハダカユー」の霊魂の正体を姉さんに見せ、改心させなければなりません。
さて、世の中はよく出来ているもんです。
この家には「助っ人」が居ました。
20歳前後の息子さんです。彼は少し霊感がありました。 部屋中のお酒を撒いたとき、彼は「悪臭」を感じていたんですね。
彼にお願いして、「ハダカユー」を感じてもらうことにしました。
私は、彼の肩に手を置き、ゆっくりと彼に力を送ります。
しばらくして、彼が言います。「もういいです」
そう言ってあと、彼はトイレに行き、嘔吐しはじめました。きっと分かってくれたんでしょう。
あれからだいぶ経ちました。もうあのアパートに姉さん家族は住んでいません。
きっとどこかで幸せに暮らしていることと思います。
ただ、心残りがあります。
「ハダカユー」には関わるなと言っていた意味・・・。
彼らは、ターゲットをすぐに変更するようです。
今、アイツは取り壊されたアパートの隣に住む・・・大家さんの家にいるようで・・・。
たまに車で通ると感じます。あの「悪臭」・・・。